この近所の農家の家にはほとんど台所が2つある。家は質素で小さくても(東京のアパートよりは大きいが)必ず庭にでられる所にもうひとつ台所を作る。天気の良い時に庭で食事をするためだ。
そこでは料理の他に、飼っている鶏を一度に20羽くらい殺して、おおなべにお湯を沸騰させて羽をむしったり、夏にトマトを大量に瓶詰めにしたりの大仕事もする。
涼しくて日があたらなく、風通しのよい場所にあるのでベーコンや生ハムの豚の足を何本かほしてある。
少しお金がある家庭は、外の台所に食事をする場所も作る。TAVERNA(タベルナ、昔の言葉で食堂)と呼ばれる第2の食堂で、レストランのように大きなテーブルがあり、何十人も座れるようになっている。
そこで子供の誕生会を盛大にひらいたり、お客さんをたくさん招いたり、事あるごとにお食事会をするのである。クリスマスやパスクワなどは親戚一同集まって、まるでレストランのようである。
そこで嫁さんも姑さんもみんな自慢の料理を披露するのであるが、そういう時の女性の働く姿にはいつも圧倒されてしまう。みんなで食事をするということを、本当に大切にしている人たちなんだなあと思う。
今日子 |